Baseworksのホームページをご覧になって、「Baseworksとはいったい何で、どのような効果が期待できるのか?忙しい日々の中で、いつになったら効果を実感できるのだろうか?」と、疑問に思われるかもしれません。Baseworks技法は、身体的、認知的、行動的な要素を組み合わせ、筋力、可動性、柔軟性、動きの制御の向上から、身体意識の向上、感情調整、ストレス調整、記憶力、全体的なウェルビーイングなど、幅広いポジティブな効果をもたらすトレーニングへの総合的な取り組みを提供するのです。
たった1回のセッションですぐに実感できる変化もあれば、効果が現れるまでに時間がかかるものもあります。Baseworksでの経験は、出発点、目標、練習に対する考え方にも影響されるでしょう。何を達成しようとしているのか、明確な考えを持つことは、努力を統合し、上達を早める助けとなるでしょう。
そこで、潜在的な効果をよりよく理解していただくために、東京の生徒の方々から集めたビデオ体験談という形で、私たちが受け取ったフィードバックを要約できればと思います。近い将来、ビデオ資料の一部が公開される予定ですので、乞うご期待ください。
全般的に報告されているBaseworksの効果
(1) 身体能力
誰もがBaseworksが身体能力に及ぼす影響について言及しています。練習を通じて、筋力、体幹の強さ、柔軟性、バランス、可動性、姿勢の改善、動きの制御が向上したことに気がつくと。また、体がより整って、左右対称になったという声も多いです。
Baseworksの強度への取り組みは、どのような動きでも全身の筋肉を動かす「活性化状態を全身に巡らす」の原則に基づいています。この技法は特に初心者に効果的で、即座に筋力を向上させることができるため、いずれは難易度が高い動作も行えるようになるのです。さらに、私たちのプロトコルは「激しさの調整」の原則に基づき段階的な上達を重視し、身体的に負担のかかる動きの際に体力を消耗しないようにするのです。この穏やかでありながら効果的な取り組みは、日常生活やその他のスポーツ活動を支える強い筋肉を作るのに役立ちます。
柔軟性に関して言えば、多くの人がBaseworks Practiceを他の選択肢と比較し、その効果と快適さを高く評価しています。私たちの柔軟性を開発するための動作パターンは、PNF(固有受容性神経筋促進法)ストレッチテクニックの特定側面と重なりますが、より総合的な取り組みなのです。反射回路を「ハック」するのではなく、筋肉を意識的に制御することで、自分の意図に沿った伸展を実現する方法を教えるのです。また、不快感やストレス、筋肉の損傷を防ぐため、無理な運動を避けることを優先します。その結果、Baseworksを正しく実践すれば、耐え難いDOMS(遅発性筋肉痛)を経験することなく、柔軟性を高めることが期待できるのです。
(2) 他の練習領域でのパフォーマンス
Baseworksを日課に取り入れることで、様々な運動のパフォーマンスや理解度が大幅に向上したと多くの人が報告しています。ランニングや水泳から、ゴルフ、テニス、キックボクシング、武道、球技、ダンス、ヨガ、ジムでのトレーニングまで、Baseworksの恩恵は明らかにそれ自体の練習にとどまらないのです。
Baseworksの筋肉活性化テクニックと「激しさの調整」の原則は、他の身体活動にも容易に応用できるため、多くの人が他のスポーツでより良い回復と痛みの軽減を実感しています。これは、より快適で管理しやすい動作の実行につながるだけでなく、怪我のリスクを最小限に抑えるのです。
さらに、その人独自のコンディションを受け入れ、個々のニーズに基づいて運動を調整するというBaseworksの取り組みは、グループ体験にも大きな影響を与えているようです。先生と同じことを再現したり他人の強度に合わせることにプレッシャーを感じることなく、むしろ自分の体の声に耳を傾け、それに合わせて練習を調整することを学ぶこと。この考え方はしばしば他の練習領域にも引き継がれ、運動の強度を調整したり、Baseworksの筋肉共働作用テクニックを取り入れたりすることで、より快適で扱いやすい運動を行うことができるようになるのです。
他の練習領域をよりよく理解できるようになるのは、全体的な身体意識の向上(次のポイントを参照)からだけでなく、「グリッド線と対称性」と「固定する・分ける・分離する」の原則に従うことで、複雑で複合的な動きを、意識的にアクセス可能な構成要素(基本的な動きの語彙)に分解できるようになるからです。
(3) 身体認識と身体理解
多くの人が、Baseworksのおかげで、以前は持っていなかった身体への気づきを得ることができたと語っています。Baseworksが自分の身体について学ぶ手助けをしてくれることに感謝すると。他の場所(ジムや他の運動システム)では、ただ動作をこなすだけに対し、Baseworksでは「実際に学ぶことができる」とはっきり言いきる人もいます。Baseworksが物事を分解し、一貫性があり、なぜそのようなやり方をするのかという明確な論理があることが気に入っていると。
パトリックがBaseworksを開発した当初、彼の主な目標のひとつに、人々が自分の身体をよりよく理解できるよう促すことがありました。そのために、トップダウンとボトムアップの両方の戦略を用いたのです。トップダウンの取り組みでは、個人の限界を理解・分析することに重点を置き、ボトムアップのメカニズムでは、動きのパターンと空間的な目標を活用することで、意識が利用できる感覚情報を増やしていくのです。パフォーマンスの一貫性と意識の向け方の組み合わせは、最適な神経可塑性の素材となるのです。
プロのアスリートやダンサーでさえ、Baseworksが身体認識や身体理解に与えた影響を認めています。これは、私たちの「フィジカルインテリジェンス」という概念が、多重知能理論における伝統的な「身体運動感覚知能」を超えていることを示す一例です。身体運動感覚知能が高いということは、身体を使うことに長けているということかもしれませんが、「フィジカルインテリジェンス」の概念はより広く、身体に対する認識や理解をも含んでいます。スキルを身につけ、それを内面化するにつれ、その実行を意識的に認識しなくなることが多いですが、Baseworksはこのギャップを埋める手助けとなるのです。
(4) ボディメンテナンスとコンディショニング
Baseworksのもう一つの利点としてよく報告されるのは、身体を維持し、コンディションを整える能力です。これは特に、ダンサーなど、日頃から身体への負荷が大きい運動をしている人にとって有益です。Baseworksは、動きの改善や他の活動での衝撃を軽減するために使用されるだけでなく、自分の身体の現状や自己認識の度合いを測定するために用いられているのです。Baseworksがいかに自己認識のリトマス試験紙的な役割を果たすかについて、里子は洞察に満ちた記事を書いています。
Baseworksは、必ずしも穏やかな「休憩」のような練習ではありません。前述したように、Baseworksで確実に強度が高まります。とはいえ、体調が万全でない日や怪我をしている時には、Baseworksは快適で適切な強度で活動を続けるための機会とツールを提供するのです。
(5) 緊張と痛みの緩和
Baseworksのもうひとつの効果としてよく挙げられるのが、筋肉の緊張や硬さ、痛みを軽減することです。
適切な運動強度(ポイント2)と筋肉の発達(ポイント1)を理解することで、Baseworksをとおして運動後の痛みを克服し、日常生活をより快適にすることができるのです。これが「痛みがなくなった」という共通の声を裏付けるのです。
Baseworksの魅力はそれだけではありません。肩こり、腰痛、坐骨神経痛、その他、現代のライフスタイル、特に長時間のコンピューター作業から生じる一般的な筋肉の緊張の問題に対処するための多くの独自のテクニックを持っているのです。
筋膜に関心がある方であれば、Baseworksのミクロの動きに意味をみいだすことができるかもしれません。「テンセグリティに基づく」緊張緩和に関心がある方であれば、構造化された脊椎の動きのシークエンスかもしれません。
けれども、これ以上に重要なのは、Baseworksは筋肉を意識的に使うことを教えているということです。筋肉のどこかに緊張が残っていたとしたら、自分の意思でそれを一掃できるのです。「複数のアプリが使用中」という理由でディスクを取り出せないことがあるように、比喩的に言えば、Baseworksを使えば、自分の意思に従って筋肉を収縮させると共に、バックグラウンドで動いている不要なプロセスを「強制終了」し、筋肉を使うのをやめることで、よりリラックスした状態にできるのです。
(6) 気分、エネルギー、睡眠、その他の心理的影響
Baseworksは、睡眠、気分、リラクゼーションを改善するのに役立ちます。セッションを終えると、よりリフレッシュし、活力が湧いてくるのを感じることができるのです(多幸感ではありません)。Baseworksによって別の脳の状態になったように感じると表現する人もいます。多くの人が、自信と全体的なウェルビーイングが向上したと報告しています。また、Baseworksはストレスや疲労を軽減し、精神的な休息をもたらし、リラクゼーションとウェルビーイングを促進すると。
全般的にBaseworksのセッションは中強度の運動なのですが、いつでもコンディションに応じて低強度にできるのです。神経系を過剰に活性化させないよう、細心の注意が払われています。フィットネス業界では、エンドルフィンを介した多幸感を「運動の成功」の指標として宣伝する傾向がありますが、Baseworksでは異なるアプローチをとります。エンドルフィンはHPA軸(「悪い」ストレス)の活性化と同時に放出されるため、全般的に、これを避ける戦略を選ぶのです。
過度の交感神経状態からすぐに立ち直り、休息と消化のモードに深く入ることができる人もいるかもしれませんが、すべての人がそうであるとは限りません。交感神経過緊張状態になるようなものが常に有害だと言っているわけではありませんが、Baseworksでは、経験の有無や身体的練習が自分にどのような影響を与えるかを理解しているか否かにかかわらず、すべての人が生理学的に練習の恩恵を受けられるようにしたいと考えているのです。また、パトリックの記事「自己調整のモーニングコール」を読めば、このことに関する別の、より全般的な視点を得ることができるでしょう。
よってBaseworksで得られる精神状態は、典型的な運動後の至福ではないのです。より穏やかで、集中力があり、リラックスした状態が長く続くのです。
(7) マインドフルネス
多くの人が、精神的・感情的な気づきと制御力が改善され、感情の調節がうまくなり、困難な状況に対処できるようになったと報告しています。練習によってマインドフルネスが促され、今この瞬間に集中できるようになり、自分の身体の声に耳を傾け、それに応じて行動を調整できるようになったと。
「瞑想できない」と言う人の中には、「何も起きていないから」と言う人もいるでしょう。Baseworksで培われた身体への気づきは、マインドが内面的な側面に集中するよう促されたとき集中するための材料を提供してくれます。よってBaseworksを行うことは、他のマインドフルネスの実践に役立つかもしれません。
Baseworksでは、意識を集中させることが多いに必要となります。つまり、意識・注意力を訓練するのです。しかも、Baseworksの意識は「分散型」であるため、珍しい性質をもっています。よって、意識を向けることができないゆえに「瞑想」に苦労している人は、Baseworksが手助けとなるかもしれません。
今この瞬間にいることは、Baseworksで日常的に行う、現在のコンディションを確認し、内部のシグナルや状態に気づく練習からも得られます。自然な呼吸をフィードバックとして使い、労力を制御することで、常に呼吸に注意を払う習慣も身につきます。つまり、Baseworksの練習で動きの課題を遂行するために開発されたスキルは、日常生活にも引き継がれ、より「この瞬間に存在する」ようになり、(興奮した呼吸や身体感覚として現れる)自分の感情的な状態に気づくことができるようになるのです。
(8) ストレス調整
多くの人が、Baseworksがバランスを保ち、自分を限界以上に追い込まないことの重要性を強調することで、健康に対するホリスティックな取り組みをとっていることに気がつきます。クラスでこの取り組みを学び、それを生活の他の分野に応用していくのです。
ご存知のように、ストレスは何かが過剰になったときに発生します。自分ではどうしようもない状況から来るストレスもあるでしょうが、多くは、(A)自分が無理している度合いを自覚していないこと、(B)無理をしていると自覚した後も無理し続けること、に起因しています。前者の問題は、身体と感情への気づきを養うことで対処できますが、後者は社会的な問題です。Baseworksを練習しにきて、自分の体の声に耳を傾け、無理をしないようにと言われると、多くの人は驚きます。この新しい視点をとおし、自分の限界を常に超えなくてもいいのだということ、自分を大切にすることが優先事項なのだということに気づくことができるのです。
常に何かにどれだけの労力が費やされているかについて注意を払い、賢明であるというこの考え方は、Baseworksを超えて応用できる貴重なスキルです。そのシンプルさにもかかわらず、多くの人がBaseworksから学んだ最も変革的な学びの一つであると語っています。これは、常に自分を追い込まなければならないという社会的プレッシャーと、この傾向から脱却することの重要性を反映しているのです。
(9) 創発的結果
ここまではすべて、生徒たちから寄せられた最も一般的なコメントであることを強調できればと。(9)は、私自身の経験についてです。
Baseworksで私自身が得たことについて語るとしたら、(筋力、柔軟性、制御力に加えて)最も大きなものは、(1)自分の筋肉が自分の思考の延長であるという感覚、(2)空間的ワーキングメモリの向上、(3)「空間音楽」としか言いようのない持続的な空間認識の質でしょう。あるいは、最近見つけた 「counterfactual richness 」(日本語に直訳すると、「反事実的な豊かさ」)という言葉も、この体験と関係があるかもしれません。基本的には、自分の体に関連する何百もの空間的な点を意識しているような感じで、動くとそれらの間のパターンを感じることができるものの、動かなくてもこれらのパターンを想像することができるのです。歩くことは踊っているような感覚があり、それでいて、動かないでいても踊っているような感覚があるのです。自分の身体の空間的な位置によって、いつも楽しませてもらっている感覚です。
この新たな経験の質は、Baseworksの練習を始めるまでは、存在すら知りませんでした。ダンサーや上級武道家が常に感じていることなのだろうかと思ったりもします。しかし、これまでの人生で、この達成可能で訓練可能な経験の質について論じた情報に出会ったことはありません。これがどれほど一般的なことなのかはわかりませんが、私にとっては予想外の喜ばしい結果だったのです。
当初、このような特別な経験を求めていたわけではありませんが、それにもかかわらず、結局はこのような経験を得ることができたのです。このような進歩は、ある目標を追求した結果、さらに驚くべき結果がもたらされることを意味する、「創発的結果」と言われるものです。
筋力、柔軟性、リラクゼーションの向上に関しては、比較的容易に達成できます。しかし、身体的スキルや知覚的スキルは、より多くの時間と労力を要するものです。楽器の習得や新しい言語の習得に匹敵するものです。これらの変化には一貫したトレーニングと献身が必要であり、一朝一夕には現れないかもしれないのです。
したがって、明確な目標と現実的な期待を持つこと、特に時間軸という点では非常に重要です。さらに、パトリックの記事「熱心に取り組む理由」を読まれることをお薦めします。この記事では、1つの活動から別の活動へと飛び移ることが、時間と努力を必要とする潜在的な実現や利益の妨げになる可能性について論じています。成長と進歩に必要な時間と努力を自分に与え、専念し続けることが不可欠なのです。
(10) 構造化された進歩への道
生徒からのコメントに話を戻して、もうひとつ。よく言われるのは、「Baseworksは上達の仕組みが明確でいい」、「気づきがあっていい」ということです。進歩に気づくことが自信につながると、「自由 」をもたらすと言う人もいます。
確かにBaseworksはかなり細かく、成功の秘訣は身体能力だけではありません。むしろ、自分の動きを意識し、それに合わせて適応することが重要なのです。つまり、1回のBaseworksセッションで、何百、何千もの細かなタスクをこなす可能性があり、その1つ1つが完了したときに達成感を感じることができるのです。大きなタスクを小さなタスクに分割すると管理しやすくなるため、先延ばし癖を克服するためにも同様のアプローチが推奨されることがよくあります。
このように小さな作業に集中することで、日々の進歩が実感しやすくなるのです。徐々にではあるものの、物事を分解していくとパターンが現れ、時間が経つにつれて、自分の進歩が一貫したシステムとして見え始めるのです。これは旅をより楽しいものにするだけでなく、過程に没頭する助けにもなるのです。そして、何かを理解し、全体像が見えたとき、自信と解放感が生まれるのです。
昔、タイ・ロペスが言った言葉がずっと心に残っています:
「世界を変えたいのなら、まず自分自身を変え、報酬王になることから始めばいい」。
「報酬王」とは、もちろん、些細なことから「ドーパミンヒット」で報酬を得る能力のことでです。そして、それこそがBaseworksが提供するものであり、自己報酬と進歩のための素晴らしい枠組みなのです。
結論
Baseworksの変革的効果は独特で、個人の目標によって異なるものの、多様な背景を持つ人々が一貫してそれを達成しているのです。
身体能力や知覚能力を開発するには、脳内のマップを再構築する必要があるため、数ヶ月から数年のトレーニングが必要となります。これはかなりの時間を費やすように思えるかもしれませんが、学位取得や新しい言語の習得といった他の学習形態に匹敵するものです。
Baseworksの構造と取り組みによって、前向きな変化が容易になり、ミクロの進歩と実現ごとに新たな可能性が生まれ、展開していくのです。